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-はじめに-

 

 厚生労働省のまとめた人口動態統計によると、2015年の離婚件数は約22万5000組、離婚率は1.80(人口に対する比率,人口千対,計算式は225000÷125252)と推計されています。
 2002年の約29万件に比べれば減少していますが、当時の婚姻数が75万7000組、2015年が63万5000組で、離婚する割合自体は高止まりしたままなことが分かります。

 長野県が実施した「ひとり親家庭実態調査」によると、平成27年度の県内の母子家庭は23,630世帯、父子世帯は3,216世帯です。その中で離婚によりひとり親になった割合は母子家庭が88.8%、父子家庭が85.2%。計算してみると、母子家庭は20,983世帯、父子家庭は2,740世帯となります。

 これだけの離婚数、その6割に未成年の子どもがいて、さらにその6割の子ども達が親権を失った片親との関係を断絶させられ、面会交流ができていないと言われています。

 

 日本は離婚時に一方の親から親権を剥奪する、G8(先進8カ国)で唯一、共同親権を認めていない国です。
この権利は「離婚後共同親権」と言われ、子の親権について父母双方が共同し、権利と義務を有するというもの。国際条約「子どもの権利条約」でも、別居が始まった時から恒常的な親子の交流をするように求めているように、国際的には一般的な考え方です。
 しかし日本では民法上、離婚後の共同親権を認めることは不可能であり、離婚時には必ず親権者を決定し、片親の親権を剥奪しています。

 片親の親権しか認めないという現状は、夫婦間に子どもの争奪戦を引き起こすことにも繋がります。実際に離婚前の連れ去りや虚偽の家庭内暴力の申し立てなど、手段を選ばない行為があり、罪のない子どもが被害を受けるケースも多くなっています。
 こうした状況は夫婦間の感情的な対立を深め、養育費の問題など離婚後の子どもの成長に直接的な悪影響を及ぼしかねません。

 

 子どもには両親どちらとも交流を深め、愛情と養育の機会を受け取ることで、自身の心身の成長を図る権利があります。たとえ離婚が成立したとしても親は親、子は子です。両親の感情的な対立から子どもの権利を奪うことは許されません
 子どもたちが両親どちらとも普通に会える、そして望む教育の機会を得られる環境の構築が求められています。

 現在日本では地方自治体による離婚・別居家庭への支援や、親子断絶防止法の成立を目指す国会議員らの動きなどがありますが、まだまだ全国的な認知度は低く、問題の根本的な解決には至っていません。

 当会では支援員が、離婚・別居家庭での子育て支援、面会交流支援、両親が安定して養育を続けられるような支援などに当たり、子どもたちの心身の健全な育成、貧困や経済的困窮からの脱却を目指します。
 また、広報啓発活動により問題の地域社会全体での認知度を上げ、親子の断絶や子どもの貧困など、子どもを取り巻く問題の解決を目指す社会的な取り組みを支援します。

 

 

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